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「っ……そ、そそそそ、そんなこと言われても?」
「さっきも言ったが、嫌だったらスルーでも拒否でも好きにしてもらっていい」
「誰もスルーするなんて言ってないし!て、てか、なんでよ!」
「なんでよ、とは?」
「その、それは、あたしを、だから……とか。そもそも、なんで今日なのか、とか……」
前者の方はハッキリ言わなかったので、後者の質問にだけ答える。
「なんで今日だろうな。今日であることの理由は上手く説明できないが、今である説明は
うまくできる。お前が他の誰かの彼女になることを、阻止したいと思ったからだ」
「つまりあんたは、あたしのことが………好き………ってこと?」
恵からの、その問いかけはこれまでに無いほど強い感情が込められていた。
この瞬間、あるいはこの直前に心を震わせ、そして強く答えられる……そう思ってい
うま
た。
かるいざわ
336ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
「そうだ、オレは軽井沢恵が好きだ」
人生一大イベントのひとつでもあるはずの告白。
本当の気持ちをぶつける瞬間。
オレは恵からの問いかけに、本心から答えられただろうか。
本来誰かに告白するという行為は、単純に好きだからという動機が全てだ。
意中の相手を自分だけのモノにしたいという欲求からの求愛行動。
「返事は?」
オレからのボールは既に恵に手渡されている。あとは返事を待つだけだ。
恵は混乱する頭の中を懸命に整理し、そしていつの間にか逃げていた視線を必死に戻
す。
「 っ、付き合ってあげる……わよ」
「それはオレのことが好きってことで良いのか?」
「そ、そんなの言わせる?」
戸惑う気持ちは分かるが、ここは確認事項として外せない部分だ。
その返事を持って、初めて2人の関係に確かな変化が訪れる。
「ああ、言わせる」
こちらがそれを促すと、恵は驚きつつも露骨に拒絶することはなかった。
「っ……」
第三者が聞いているわけじゃない、契約書に印鑑を押すわけでもない。
2人だけが知る、2人だけの会話。2人だけが守り合う約束。
「答えられないか?」
もし答えられないのなら、どうするかこちらから提案しなければならなくなるが。
「ちょ、ちょっと待って。今、今急いで気持ち作ってるから……!」
「パーに広げた両手を前に押し出し、ちょっと待ってくれと急かすのを止める。
337ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
ひとみ
オレはその様子を見ながら、静かにその時を待つことにした。
そして数十秒ほどして意を決した恵の瞳がオレを見つめた。
「……そりゃ、まあ? その、なんてーか……」
決意はしたものの、それでも言葉を紡ぐのには苦労しているようだった。
そんな姿を見ていて妙な愛らしさを感じられたためか、待つ時間は苦ではない。
「あんたのこと……だから、あたし……」
たくさんの勇気を絞り出すのに苦労しながらも、けして目だけは逸らさなかった。
それが恵の決めた覚悟の証明だったのかも知れない。
井沢恵の強い部分。
こうと決めたら、どんな状況でもそれを貫き通そうとする意志。
「す、好き……かな……かなって言うか……」
段々と小声にはなりつつ、ごにょごにょと告白を続ける。
「あたしも……好き……になってた……。悔しいけど……みと、認める!認めるっ
て!」
何故か怒りながら、それでも恵は両思いであることを言葉にした。
レは両手を伸ばし優しく恵の左右の腕を掴んだ。
※ 「ちょ、ちょちょP: ま、まさかキスとかするの?」
338ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
つか
好きだと言わされそうになった時よりも、更に大きなリアクションを返す恵。
ここでキスをしても恵が嫌がることはないだろうが、そこまでは踏み込まない。
「それはしない。まだな」
「ま……まだっ……」
つまり、今後はそう言った行為も視野に入ってくるということ。
それを想像し、恵はフリーズしたように硬直した。
オレはそんな恵を、優しく抱き寄せる。
これは2人の関係が大きく一歩を踏みだしたその証明でもある。
「これくらいならいいだろ?」
「 まぁ、これくらいなら……」
顔を見なくても分かる。
恵は今、きっと戸惑い緊張し、そして喜びを感じているはずだ。
その顔は笑顔とも何とも言えない表情になっているだろう。
「ねえ、ちょっと身長伸びたんじゃない?」
「そうかもな」
入学前に計った時は、176センチ。1年間で成長していてもおかしくはない。
他の生徒たちだってそうだろう。
人は成長する生き物だ。
339ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
そして学習を好む生き物でもある。
これは、本能。
自転車の乗り方や泳ぎ方を覚えるように。
箸の持ち方やストローの吸い方を覚えるように。
オレは恵を通じて恋愛を学習する。
これまでの人生で、学んでこなかったこと。
ホワイトルームで学ぶことの出来なかったもの。
探究心に突き動かされる。
そして、その対象が恵であったことはもう1つの重要な意味を持つ。
かるいざわ
この恋愛が、軽井沢恵という人間の成長過程に必要になってくるからだ。
この先1年を見通した時、オレとの関係が重要になってくる。
宿主に寄生して生きる恵のままでは、いずれダメになる。
それを阻止するために、このステップは欠かせない。
340ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
オレは
オレは今、どんな顔をしているのだろう。
笑っているのか。
それとも、恥ずかしさを覚えた顔つきをしているのか。
あるいは戸惑いや微笑みを浮かべているのか。
分からない。
今、自分がどんな顔をしているのか分からない。
――
ゃ。
341 ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
違う。
本当は分かっている。
自分が今どんな顔をしているのか。
何を考え、何をしようとしているのか分かっている。
人は学習に喜びを覚える。
それは勉強でも運動でも、ゲームでも同じだ。
上達したと実感すれば愉悦を覚える。
ゆえつ
しゅうちしん
それは恋愛でも同じ。
オレは、恋愛を知らない。
恋を知らず、愛を知らない。
男女の関係を知らない。
果てに待つ羞恥心や快楽、その類を知らない。
きっと近い将来、オレはその一つ一つの答えを知る。
でも、何も変わることはないだろう。
ただ学習するだけ。
そして成長し、前に進んでいく。
言わば、恵はオレにとって1冊の異性という名の教科書。
それを読み終えた時――それは『役目』を終えることになる。
それとも
342ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
そうじゃない未来が、待っているのだろうか。
その身から離すことのない、掛け替えのない存在になっているのだろうか。
分からない。
そう願う自分と、それは不可能だと悟る自分がいる。
ほほえ
どうか、祈ろう。
今この瞬間――大切な人を抱きしめているオレは、微笑んでいるのだと。
彼女を大切にすると言う、一人の若き学生であることを祈ろう。
優しく恵を抱きしめながら、オレはそう静かに願った。
343ようこそ実力至上主義の教室へ11.5

あとがき
安定の4か月ぶりでございます。皆のきぬきぬです。
令和元年、皆さま如何お過ごしでしょうか。私は元気です。
さて、私の近況ですが、ある週末シーカヤックに1度行ったきりで他は仕事ばかりして
ました。
秋の行楽シーズンになったら、どこかドライブがてら1泊温泉旅行に行きたいなぁなん
て思いながら、今も黙々と仕事を進めております。思えばここ1、2年まともに神社巡り
も出来てないなぁ。
小ネタですが、最近自分が歳を取ったなぁと感じること。
昔はパソコンとか機械類に強いつもりだったのに、どんどんバージョンアップされる携
帯の機能を、もう扱いきれていない自分に気付くとき。複雑すぎて何が何だか分からない
し、アプリの使い方も最低限以外は宝の持ち腐れにさせてしまってます。そんな自分を客
観的に見て、機械が苦手だった大人たちの姿とダブって見えてくるんですよね。車を運転
期 してても、良く分からないボタンとか機能とかも沢山あるし……。
城 ああ……そうか、自分もこうやってついていけなくなるんだな、と。
と、情けない自分のことはそんなところにしておいて……。はい、これで1年生編は終
了となりました。長かったようで、来てみると一瞬だった気もするので不思議なもので
す。
主人公である綾小路と、そして周囲の友人たち。この巻に登場したのは大勢の中の一部
ではありますが、様々な変化や成長などを見て頂けるかと思います。
あやのこうじ
そして次巻からはいよいよ2年生編となるわけですが、これまで同様の同学年でのクラ
ス対決はもちろんのこと、下級生、上級生、そして学校側と四方での戦いを中心に物語を
進めていくつもりです。情報量が増えて大変な部分もありますが、どうぞお付き合いくだ
さい。
す作
のが、
346ようこそ実力至上主義の教室へ 11.5
イラストの方も着々と進行しておりまして、既にメインビジュアル、次巻の表紙共に制
作が進んでいる状態です。間もなくメインビジュアルの方は先行で公開できるかと思いま
すので、楽しみに待っていただけたらと思います。
それでは次回も、いえ、次回から改めましてよろしくお願いいたします。

PARA
実力
至上主義
の教室
総格
きれいれい
11月のお口を.FOビームのシナリます
:
人生でいてカヤックを中まできずりな
ようこそ実力至上主義の教会は、衣笠彰梧
衣等出店
トモセシュンサク
リーダムがでないとこ
さい、よりいいかわかりに
「俺に話があるそうだな、小道会のような。
手余程のことなんだろうが、どういうことだ」
10時のみというアクシデントがあっじられ、17年3
がれなしでおりにクラスです。
式をされる。回りにはなさない
アドバイスをす0221形式見たが
に もステムにはスムや
たり、14スクラス
と もに、
あいりみるみ切りにするをクラスメイト・初れていた。すると
K10クラスだったのに、そして1年というの
の大きくさせるに十分なんで、ただ1つ!
トモセシュンサク
りはずれてんのんでームイラストレー
エアコンがここまれて消えなしに、
させたいんでしたいい時期になるし
120っさにたまっています。

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